調伏系V魔虚羅

アメリカン・スリープオーバーの調伏系V魔虚羅のレビュー・感想・評価

4.3
アメリカ、デトロイトの郊外を舞台に、夏休み最後の一週間の「Sleep Over = お泊まり会」を通して、一目惚れした女性を探す少年や、双子の姉妹の間で揺れる大学生、“楽しい何か”を求める少女など、それぞれの青春を追いかける思春期の少年少女達が、精神的に成熟していく過程を瑞々しく描く。

“戻りたいと思えど、もう二度と戻れない。そんな思春期という名の十代の神話。”
新学期目前の進級を控えた、夏休み最後の日のとある一夜に起きた物語。想いと想いが交錯し、時にはすれ違ったり。探していたものに手が届きそうになるものの触ってしまったら壊れてしまうのではないかと不安に駆られ、互いに触れるのを恐れ、再び夜を彷徨ったりする。ある者は、夏休みの刺激欲しさに、またある者は自らを大人へと昇華してくれる存在を模索したり、一目惚れをした相手を必死に探し回ったり。どれも思春期という貴重な時間の中でしか体験出来ないようなエモーショナルな瞬間。大人になって気付く、青春を過ごすということの大切さと後悔。この瞬間を切り抜き、見事映像化した監督の手腕が凄まじいですね。『エレファント』『明日、君がいない』でもあった、誰かの日常に誰かの日常が映り込む手法が常にあってとにかく最高でした。
調伏系V魔虚羅

調伏系V魔虚羅