10代でなければ創れない"神話"
本作には10代以外の人、つまり大人はほとんど登場しない。徹底的に子供達だけの空間を作り出しています。夏の甘酸っぱい青春映画ベスト盤です。
アメリカのある夏の日、様々な場所で「スリーブオーバー(お泊まり会)」が行われることに。それぞれの泊まり会場所から青春の構築から破壊までを群像劇風に描かれています。
ある学生はお酒やタバコを摂取するとこが大人になることだという憧れを持ち、ある学生はスーパーで偶然見かけた美女に惚れる。昔好きだった人に会おうとしたり、新しい友達を作ろうと奮闘したりする。これら全て若者にしか描けない、ひとときの"神話"。大人は朝までゆっくり寝ていてください。
監督の次作『イット・フォローズ』でも大人になることに対して一種の憧れを持っている主人公が描かれます。性行為をしないと死ぬ。つまり、大人になると「死ぬ」ということを示唆されていました。それは本作での、大人になることは青春の楽しい時間を過ごすことはもうできなくなる=「死」だと思い込んでいる若者達の考えと重なります。成長することへの"憧れ"がいつしか死ぬことが人生の終点という"認識"へと繋がってしまうのです。
本作は監督なりの「青春」を失った、残された人生の行き先「死ぬ」ことだけの大人達に向けたアンサーソングなのかもしれません。もう二度と経験できない青春時代に戻りたいという"憧れ"を持った大人であるほど刺さる傑作青春映画でした。