「インド映画100周年とアミターブ・バッチャンの生誕70周年を記念して」
オープニングでのテロップに胸が踊る。
でも、コテコテのボリウッド映画とはちょっと違う。もちろん大袈裟な部分はあるけどベタなメロドラマではなく、歌や踊りも控えめ。これなら、インド映画ファンでなくてもオススメできる。
ちなみにバッチャン先生はワンシーンのみの登場ながら存在感有。
冒頭、夫に目覚めのチャイを淹れながら自分はインスタントコーヒーを飲んで新聞を読む主人公を見て、古風な夫と革新的な妻かと思いきや、正反対。あるいはこの後の展開を示唆したか。
家族と違って欧米化の波に乗れず、劣等感を覚えながら、日々サリーを纏い額にビンディーをつけたマダム。英語も話せないのにそれこそ亭主関白な夫の一言で約ひと月、ひとりニューヨークで家族を待つことに。
言葉が通じない国でのカフェでの注文。
煌びやかなタイムズスクエアに、おっかないメトロ。問い合わせの電話。
心細さや不安が伝わってくる。
そんな中、思いきって語学クラスに通うことで主人公の人生が輝き出す。
優しい青年との淡い恋への葛藤、国籍の違う仲間(それぞれいい味出している)や姪っ子(可愛い)との友情、少しずつついていく自信と、自分の成長と家族への責任を天秤にかけて悩む心。
ラストはちょっとあっさりで、彼女が敬われるシーンをちゃんと見たかったけど。
それにしても、いい映画だった。