◆あらすじ◆
音楽で成功したい青年・ジョンはキーボードがいないバンドに助っ人として加わる。そのバンドのリーダーのフランクは頭に巨大な被り物をずっとつけている謎の男だった。ジョンはいつの間にかバンドのメンバーになっていて、バンドとして成功しようと精力的に行動するのだが、他のバンドメンバーとの仲は険悪なものになり...。
◆感想◆
巨大な被り物をつけ続けるフランクのバンドに加わり、バンドをメジャーにしようとジョンが暴走するストーリーになっており、フランクとその他の個性的なメンバーの行動の面白さと、自身の理想のためにバンドを動かそうとするジョンの無邪気な怖さが楽しい作品になっています。
キー・パーソンであるフランク（マイケル・ファスベンダー）は外見上、これ以上ないくらい特異な存在で目を惹きますが、観続けていると不思議とすんなり受け入れてしまいました。不気味ともいえる被り物をかたくなに離さないフランクとそれが普通だと考えるクララたちメンバーの気持ちは揺るぎないものがありました。
しかし、ジョン（ドーナル・グリーソン）がバンドに加わったことでバンド全体に不協和音が生まれます。最初のうちはジョンの上昇志向について特に変だと思わなかったのですが、ストーリーが進むにつれてジョンがバンドをメジャーにするべく動き始めるとジョンに異常さを感じ始めました。ジョン自身に悪気はないのですが、他のバンドメンバーの気持ちを考えず勝手に突き進むので、どんどん孤立していきます。
フランク以外のメンバーは常にジョンに対して嫌悪を抱いており、ジョンの顛末を観ると、最初からジョンが自分たちのバンドの本質を理解していないことを悟っていたからかなと思いました。
なかなか面白かったと思います。音楽にとってメジャーになることが成功とは限らないものだと感じました。
鑑賞日：2023年11月9日
鑑賞方法：Amazon Prime Video
