はんそく負け

しびれくらげのはんそく負けのレビュー・感想・評価

しびれくらげ(1970年製作の映画)
4.2
モデルとしてそこそこの成功を収めていたミドリだったが、ダメ親父がヤクザに絡まれたのをきっかけに、彼女までもがヤクザたちに目をつけられてしまう…。

『曽根崎心中』もそうでしたが、増村保造は憎まれ役の描き方がもう天下一品なのです。本作のクズ担当は父親役の玉川良一。画面越しでなければ引っ叩いているほどのしょーもない父親っぷりを嫌というほど見せつけてくれます。しかしヤクザにタコ殴りにされているシーンを観ると、何故だか同情してしまうのです。ミドリが見捨てられないのも何だか分かるような、不思議な魅力を放つ演技でした。素晴らしかったです。

もう一人、川津祐介が演じたミドリの恋人もクズ担当なのですが、こちらは仕事のためにはどんな冷血な判断も下してしまうタイプのクズに設定されています。まぁ流石にやり過ぎかなぁ…と思う一面もあるのですが、個人的には仕事熱心ゆえの残酷さを持つ男にはある種のカッコよさを感じてしまいます。なので彼まで成敗されるのには、納得のいかない部分はありました。