スギノイチ

ピンクのカーテンのスギノイチのレビュー・感想・評価

ピンクのカーテン(1982年製作の映画)
3.0
「妹萌え」という言葉で括るにはあまりに濃い原作だが、再現度はかなり高い。

童貞の兄は、貧乏臭いアパートで堕ちきったブスとみっともなく未熟なセックスを貪る。
美女の妹は、高級ホテルで成功者と熟練のセックスを愉しむ。
本来ならば決して交わらない筈の人種同士の男女が、兄妹であるが為に同じ部屋で暮らすパラドックス。
「ピンクのカーテン」に仕切られただけの一つの部屋で、1秒後には近親相姦に発展しそうな緊張感。
ちなみに原作は「ヤリそうでヤラない」をひたすら繰り返すことによって延々引き伸ばしていた。
ラストで性懲りも無く妹のオナニーを見つめる悟。妹とヤレない限り、彼はいつまでも「童貞」なんだろうな。

ブス女「直子」は本作では完全に当て馬キャラだが、原作では主役2人を食ってしまうほど強烈な存在感を放ち、
物語後半では実質ほぼ主人公となってしまう名キャラクターだ。
さらに、その兄の山田喜久男に至っては『ピンクのカーテン2』の主役になってしまうほどキャラが濃い。
原作後半は、主役2人のなんちゃって近親相姦そっちのけで直子兄妹のギトギトで超濃厚な壮絶近親相姦劇が繰り広げられ、「妹萌え」など吹き飛ぶほど読んでいて胸やけする作品だった。
しかし、この映画では悟と野理子の倒錯のみに焦点が当てられ(実際それは成功しているけど)、
その部分はほぼカットされ「ただの幸薄ブス」と化しているのがちと残念。
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