君子

浮城の君子のレビュー・感想・評価

浮城(2012年製作の映画)
4.9
2012年の東京国際映画祭上映中止から2年越しでの日本公開。いろいろあった2012年でしたが公開されて本当に良かった…!

アーロンの青年から中年までの役作り、違和感なくて素晴らしい!青年期は20歳くらいに見えたよ、本気で!!

お話も内容が濃くて何度も泣きそうに。混血で、しかも蛋民(水上生活の人)だということで差別される主人公が一生懸命出世を目指す。しかし、地位を着実に掴んでいくものの、結局自分は何者であるかという疑問を抱えながら生きていく。

嘲って主人公を“harf bleed”と呼ぶ英国人、主人公と結婚したが故に自分に合わない暮らしに疲れ不安定な妻、主人公を引き上げてくれる魅力的な女性、目をかけてくれる先生、同じ香港人の同僚、そして、主人公の母や父…1人1人が本当にいる人だと思わされる。

印象深かったシーンは、蛋民なので靴を履かないまま初めて学校へ行って、それを主人公よりずっと小さな子供たちが馬鹿にしていじめるシーン。大人より遠慮がない分、酷に見えて悲しかった。

香港に興味がある人はもちろん、ない人にも観てもらいたい映画です。
君子

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