ろーしゃーく

ムカデ人間3のろーしゃーくのレビュー・感想・評価

ムカデ人間3(2014年製作の映画)
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これまた前2作とは違った毛色の作品で、(『ムカデ人間』)『ムカデ人間2』を観た刑務所長ビル・ボスとその会計士ドワイトが、なんやかんやで囚人ムカデ人間(+α)を作り上げる話。
その2人を演じるのがディーター・ラーザーさん& ローレンス・R・ハーヴェイさんという過去作主演コンビである上、過去作出演の他の役者さん達も沢山出てくるのみならず、トム・シックス監督も本人役で登場するという色んなメタ要素が散りばめられた作品。

誰からも尊敬されない事で不安と恐怖が増大し、その結果として他者に対してのサディスティックな行いや差別主義的思考をさらに増長させていくビル・ボスの最低な惨めさが際立っている。
組織階層の中で人間性の破壊を加速させていく男の話でもあり、ナチスにおけるアイヒマン的な存在等にも通ずる人間の脆さや愚かさを感じられる部分もあり。

というか"ムカデ人間"的なアイデアが国家権力側に認められるという話でもあって、「それってどうなの?」という視点で描かれている辺りがシリーズ全体とその評価に対する自己批判にもなっていて、真面目だなぁと思いました。

凶悪犯であるはずの囚人達が『ムカデ人間』シリーズを観せられて、「こんなの最低だ!」とブーイングの嵐だったのが笑っちゃうけど最高でした。
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