Sugi

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密のSugiのレビュー・感想・評価

4.5
ただ主人公が暗号解読を頑張るだけの謎解き映画とは一線を画す、充実度と満足感。

女性や同性愛者に対する差別が漫然と蔓延る20世紀中盤の保守的な世界観、姿の見えない恐ろしく巨大な国家権力、陰鬱とした戦時中で光る登場人物の繊細で美しい言葉の数々。
「Sometimes it's the very people who no one imagines anything of who do the things no one can imagine.
(時に、誰も思いもしなかった人物が、誰も思いもしなかったことを成し遂げるんだ)」
「The world is an infinitely better place precisely because you weren't (normal).
(あなたが普通じゃないから、世界はとてつもなくいい場所になったのよ)」

24歳の若さでケンブリッジ大学の特別研究員になった孤高の天才数学者、アラン・チューリング教授。
ベネディクト・カンバーバッチ演じる彼の一挙手一投足は全編通して目が離せない。
天才が故の神経質さや不器用な彼なりの仲間への感謝、残酷な世界に強いられた悲哀に苦しむ姿など、彼の物語における喜怒哀楽が痛いほど伝わる。
『ドクター・ストレンジ』は個人的に好みじゃなかったが、すごく好きな俳優になった。

解読不能と言われたナチスの暗号「エニグマ」に立ち向かうチームメンバーの信頼関係が築かれていく過程は、多くは描かれなくともリンゴのプレゼントの例だけでも徐々に良くなっていく様子が十分に伝わってくる。
作中ではチューリングが主に1人でエニグマ解読に貢献したようにも見えるが、ちゃんとチームメンバーの尽力が欠かせなかったようにも映っているのが素晴らしい。

2年前ぐらいにTSUTAYAでレンタルした時はDVDが壊れていたため途中で鑑賞中断を余儀なくされたが、改めて観て良かった。
観てない人に自信を持っておすすめできる作品だ。
Sugi

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