キミシマユウキ

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密のキミシマユウキのレビュー・感想・評価

3.6
第二次世界大戦時、ドイツ軍最強の暗号エニグマ。 そんな解読不可能と言われた暗号に挑んだ天才数学者の隠された物語・・・


人気海外ドラマ『SHERLOCK』のベネディクトカンバーバッチ主演の偉人伝記系映画。
アカデミー主演男優賞をノミネート、脚色賞は受賞。
あまり興味のない分野だったが一年間このアプリで高評価のレビューを読み続けた結果やっとこさ重い腰を上げて鑑賞。


-時として誰も想像しないような人物が想像できない偉業を成し遂げる-

アランチューニングという人物は名前だけ知っている程度でほとんど前情報なしでの視聴。
この映画から受け取ることが出来たメッセージは二種類。
一つは
”歴史に隠された偉人の真実”
という一面で、これはこの映画から勉強することが出来て満足。死後評価される人物というのは肉体が滅びてもこういった作品の中で生き続け、賞賛され続けるのだろう。そういう意味では何も成し遂げずに死んでいく一般人よりも名誉なのかもしれない。
もう一つは
”人と違うのは悪いことじゃない”
ということ。天才で、奇人で、そして人とは少し違った"ある1面"をもつアランチューニングのおかげで何千・何万もの人が救われた。そんな彼を昔は否定し、真実を隠蔽し続けたイギリスがこの映画を作ったという背景が素晴らしいことだと思った。

・・・・と、ここまではベタ褒め感だが個人的には今一歩欠ける印象。伝記映画は『フォックスキャッチャー』の時のようにたまに自分のツボからハズレることがあり、今作も若干その節があった。
一番の見せ場であるはずの暗号解読シーンは予想していたよりもカタルシスを得ることが出来ずに消化不良、更に全体的なテンポと展開も少しダレたように見えたし上無駄に時系列を混ぜる必要性も特には感じなかった。
名作であることは間違いないのだが、好きかと聞かれると首を傾げてしまうような感覚だ。

主演のベネディクトカンバーバッチは素晴らしい。
アランチューニングの写真を見たら結構カンバーバッチも寄せてきてる・・・というかそっくり、変人役は見事に演じきっていた。そしてアッチの方もたしかにそれっぽい。
チューリングの遺族も絶賛しているらしく本人が憑依したようだったとか!
ヒロインは『パイレーツオブカリビアン』のキーラナイトレイ。
お、今作ではそこまでそのシャープな顎は目立たなかった。いつもはその顎で人を殺せそうなのに(笑)
彼女が実際に演じたジョーンクラークはもっと地味な女性だったらしくナイトレイはふさわしくないと批判を受けたそうだが、そんな方々に逆にききたい。

「地味ヒロインの映画と美人ヒロインの映画、どっちが観たいんだよ!!」

他にもよく出る英国俳優マークストロングや『ウォッチメン』などのイケメン俳優マシューグッドが脇を固めるがそれ以外は比較的地味なキャスティング。あくまで内容勝負か。

アプリ内の評価も高く、歴史の勉強としてもとてもタメになる、カンバーバッチの演技も冴え渡っているのでもちろん一見の価値はあるのだがあまりハマれなかったのが残念。
ただ脚色賞を受賞するくらいなのだから事実とは結構違った部分もあるそうなので全てを信じるのはよくない。

彼のおかげで今レビューを書いてるコンピューターも出来ているので感謝の意を込めて
+0.1点を差し上げる(笑)

アカデミー関連作品を観たい方、世界大戦の裏で活躍した真の英雄を観たい方、カンバーバッチの演技が観たい方、そしてそこまで尖ってないキーラナイトレイの顎を観たい方にはオススメの作品。