2時間後のていら

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密の2時間後のていらのレビュー・感想・評価

4.5
第2次世界大戦中、ナチスドイツの通信に使われる暗号「エニグマ」の解読に挑む数学者、アラン・チューリングの物語。
戦争の裏にはこんなドラマがあったんだよ、っていうフィクションかと思いきや、これがほぼ史実であるなんて!もっと多くの人に知られるべき話だと思う。

今では当たり前のようにクリック一つで世界と繋がっているケド、その裏で膨大な計算が信じられない程短い時間で瞬時に行われているわけだよね?
この映画の、どデカく、ガチャコンガチャコン唸りを上げながら懸命に動くもののなっかなか計算結果を出しやしねえマシンを見た後は、目の前のパソコンが魔法の箱のように感じる。
でも、アランが暗号解読の為に作ったそのどデカマシンこそが、コンピューターのご先祖様。
魔法の礎を作ったアラン・チューリング、深く尊敬します。
多くの人々の命を救い、未来への足がかりを作ったんだから。
なのに、こんなに偉大な人物なのに、あまりに無情な生涯。
切なくて胸が締め付けられるよ。
どうか、彼の来世が幸せなものでありますように…!

『普通ってなんだ?みんなと違って何が悪い。違っているからこそ素晴らしい。』
そんなメッセージを受け取って熱くなりました。

ベネディクト・カンバーバッチ、今迄「顔長いな」くらいにしか思ってなかったんだけど(ゴメンナサイ!)、ようやく彼の凄さや愛らしさを理解!
天才だけど、現代では「アスペルガー症候群」と診断されそうな人物像、そして心に抱えた秘密に苦悩する姿を複雑に繊細に表現する。
特に終盤の表情、仕草、一つ一つから目が離せなかったなあ。

2桁の計算ですら覚束ない私には、159000000000000000000パターンという数字を見ただけで脳にブルースクリーンがかかってシャットダウンします。
だけど、冗談を言ったり、皮肉を理解したり、言葉の裏に隠された意味を受け取ったりする事は出来ちゃったりする。
それはある意味エニグマの暗号のようなものなのに。
人間って不思議だ…。

ちなみにこの映画を観ている間、ずっと思い浮かんでいた動画「フカシギの数え方」https://youtu.be/Q4gTV4r0zRs オススメ。パターン計算の果てしなさが実感できます。