ルッコラ

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密のルッコラのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

とてもよかった
演技という要素に関しては全くの門外漢なので知識も経験も審美眼もないけど、これはさすがにすさまじいと感じた。
なかなか心が痛くなる映画だったけど観ておいてよかった。これは傑作。




追記
多くの観るべき要素、感じるべき要素を持った作品で却って筆が進まなかったのでもう一度みてみた。
結果、やはりベネディクト・カンバーバッチがすごいと。
それが一番ですね。
賞賛すべき映画的要素は多い中でも彼がいなかったらここまで感動しなかったと思うし、そもそも成立していないと思う。
そんなレベル。



物語に触れても単なる読書感想文になってしまうけど
学生時代の初恋からラストシーンにつながる流れは本当に切なく美しい。
フィクションであってほしいと願ってしまう。

アラン・チューリングという人物の伝記という側面もあるので、歴史的描写が多いのは仕方ないし、そちらも十分ドラマチックではあるけど(徐々に仲間と打ち解けて解読する流れは爽快だった)

しかしこれは純度の高いラブストーリーが本質。愛情表現の手段が暗号であり、それでコミュニケーションをとれる相手(機械)だったという話。

全寮制の学校でいじめられている中、手を差し伸べてくれた相手に好意を抱くも同性。
しかもその思いを告げることも相手の気持ちを確認することもできないままその相手を病気で失う。

そして彼と暗号でやりとりしたように、言語ではなく暗号(プログラム)で意思の疎通ができる存在を自分で作り上げることに生涯を捧げるも、人間になじめず、最後は理不尽な権力という暴力の元にこの世をさる。


気持ちわかるとか、感情移入できるとか、そんなこととても言えないラブストーリー。
時代背景、舞台が戦争だったというだけで、そこは大きな問題ではなく、
例え同じ国民であろうと同族の人間を実際にも社会的にも殺す残虐性、暴力性を秘めている。多様性、マイノリティに対する理解のなさこそが1番の醜さ。

要素だけ抜き取るなら「火の鳥」にあってもおかしくないレベルのエピソード。
ルッコラ

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