伝記モノは本当に難しい。ストーリーに幅を持たせにくいからだ。事実は動かせない。そしてドキュメンタリーとも違う。あくまでも物語として映画に昇華させなくてはいけない。その難問を突破するためには周到な準備、優れた脚本がなくてはいけない。そして今回の優秀な脚本こそが本作の屋台骨であるということは間違い無いだろう。
必要最低限度の時間軸のずらし。友情愛情関係。これらを効率よく配置しつつ「暗号解読のエキスパート集団の形成」「エニグマ解析のためのマシンの創造」「戦争終結のための情報統治のあり方」を順序よくわかりやすく描いている。そして戦時下において情報を制するということは大量の命を守るということを示した。
銃を持たず、行軍もなく、爆弾を使用するわけでもなく、アランとそのチームは効率よく人の命を救い続けたわけである。
アランの作ったクリストファーでできることは今のパソコンで簡単にできるような気がする。その下地を作ったアランには感謝しなきゃなと思う。