TaroYamada

誰よりも狙われた男のTaroYamadaのレビュー・感想・評価

誰よりも狙われた男(2014年製作の映画)
3.0
派手なアクションはほぼ皆無だが全編貫く緊張感は半端無い
説明が無いので、フィリップ・シーモア・ホフマンの立ち位置がどんなものかも判るのに一苦労、しかしそれが作品に集中させる一因ともなっている
台詞のフックが劇中に仕掛けてあり、それがオーラスで回収される

結局皆自分の物差しで測ろうとして、物差しの違いを比べようとはしない、比べるには後戻り出来ない位に遅すぎたのか
余りに疑心暗鬼になり過ぎて誰も寛容の精神を持てなくなってしまったか
劇映画の本作にも、今日世界で起きている問題がきちんと落とし込まれている

劇中では犯罪行為に見合う事は起こらないにも関わらず、未然にテロを防ぐという美名の下に、ドイツの2組織、CIAがイスラム教徒を捕まえようと躍起になる
確かにそれらの動きが大規模な無差別テロを未然に防いでいるのだろうが、最早根絶やし作戦にしか見えなかった

フィリップ・シーモア・ホフマン演じるエージェントはそのやり方への反発、過去の捜査での失敗、協力者への贖罪の気持ちも有って、独自捜査で何とか協力者達への恩恵を与えようとするが、組織との狭間で苦しみ、自らが思う方向へは行かない苦しみが痛いほど滲み出ていた