家族ほどやっかいなものはない。
何より大事だからこそ。
言い換えるな、面倒でも愛しているから。
独善的、独裁的な父。
家族、親は選べない。
「この家、サイテーね」
ポーチに入らず、わざと濡れる。
すごくよく分かる。
自傷行為により、罪悪感を負わせたい。
「あなたのせいで、僕はこうなってしまった」
無言の復讐。
親も完璧ではないのだ。
完璧であるべきだと、子供は思うが。
母の死後、完璧な母の秘密を知る息子。
「ありがとう」
と、「彼」に言う息子。
そして父になる息子。
細かいエピソードから、人物像を浮き上がらせ、2つの時系列を交錯させる、脚本兼監督の手腕が冴える。
それを体現する、確固たる演技力の俳優陣。
誰もがどこかのシーンや誰かに心を寄り添える。
家族がいるなら。