emma

怪しい彼女のemmaのネタバレレビュー・内容・結末

怪しい彼女(2014年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

家族のために生きる強い女性の姿を、老いや若返りを通して描いた映画。

年老いた主人公は、貧困の中、女手1つで息子を国立大学教授まで育て上げたことを自慢に、息子の嫁や知り合いのおばさんに"老人らしく"上から目線できつく接していたが、息子の嫁がストレスで倒れたことにより、自慢の息子や孫から家を追われる。追い打ちをかけるように、若い時生き延びるために秘伝の調理法を盗んだ食堂の娘に強く責められ、皆からやっかい者扱いされて絶望する主人公。

ある写真館に訪れ20代前後まで若返った主人公は、夢だった歌手として成功し、男性からも人気を集め、恋にも落ちて若さを満喫していたが、結局は孫のために再び老いた自分に戻ることを決意する。

見ながらまず思ったのは、男のポンコツさ。息子は老人問題の専門家なのに、嫁が倒れるまで姑の関係にノータッチで、最後まで特に行動は起こさない。売れないバンドマンの孫は、音楽で食べていくと言いながらド下手なボーカルを代えもせずにいる。結局、嫁はおそらく一人で問題を解決、主人公は歌の実力で孫のバンドをテレビ出演までさせて、女の力様々という感じ。

あとは、女性の母としてのアイデンティティの強さ。倒れるまで一人でストレスに耐え、環境に対応していく旦那の嫁もそうだし、何より夢も青春も捨てて、子育てと仕事に人生を注いだ主人公が、もう一度人生やり直すとしても、全く同じ道を選ぶ。そしたら私はおまえの母で、おまえは私の息子になる、と息子に伝えるシーン。

主人公の人生で大事なのは「母になること」そのためならキラキラした若さも捨てられるほどなのかと再確認。最近の多様化した女性の理想像を考えると古いけど、まあおばあちゃんやから仕方ない。(そしてやっぱり、この息子は最後まで「父」よりも「夫」よりも「息子」、、)

今では考えられない苦労をして仕事や子育てしてきた老人なんだから、ちょっと気に食わなくてもあんまり疎まずにいないといけないですね。


前半のベタベタした重苦しさの反動もあり、後半は明るくてスピード感あるから、バランスが良くて見てて飽きないし疲れない。若い頃のヒロインのおばあちゃん感絶妙。そして最後のキム・スヒョンに感動。バンドの曲もいいし、全体的に満足感高い。
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