狂王キシリトールヴィヒ2世

聖杯たちの騎士の狂王キシリトールヴィヒ2世のネタバレレビュー・内容・結末

聖杯たちの騎士(2015年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

映像と言葉の洪水、芸術が畳み掛ける。そのカット数の多さからくる性急さ、めまぐるしさにより作品世界の美しさに酔っている暇はない。まさに生活に追われ世界の美しさを見逃してしまうが如く。観客視点では6人の聖杯たちはまさに聖杯であり、聖杯探求の旅を続ける必要などない。そこに聖杯があるから。でも聖杯探求の旅に終わりはない。現実に運命の人(アレクサンドラかも)、事態を好転させる聖遺物といったものは存在しない。モノローグも存在しない。他人を理解するにはこの世で流れている時間はあまりに速く短い。テレンスマリックの映画ではいつも水が象徴的に画面の中に存在する。ラストカットに水が存在している作品がほとんどである。なんとなくハッピーエンドとか希望的なものを表しているというように思っていた。今回も海とプールが頻繁に登場する。海はリックの大切な人と訪れる場所でプールはハリウッドのパーティの中心に存在する。富と名声には偽りの喜びしかないのかもしれない。あと音楽も良かったし、出てきたおっぱいが綺麗なのも良かった。近年の作品が自伝的であるために監督のインタビューに応じないという姿勢が残念でもあるが、作品を観ればインタビューなど必要ないのかもしれない。テレンスマリックが今後どの様な作品を生み出していくのかがより一層楽しみになった。続きのある人生の映画化をみせられてしまったから。