おくるみ

非現実の王国で ヘンリー・ダーガーの謎のおくるみのレビュー・感想・評価

4.0
【ヘンリー・ダーガー(1892-1973米国・シカゴ)】 幼児期に次々家族と別れ、養護施設に預けられた後、知的障害児の施設に移される。父の死を知り17才で施設を脱出。その後50年の間皿洗いなどの仕事につき、晩年、老人養護施設に移る。残されたダーガーの部屋で15000枚の原稿と数百枚の挿絵が発見される。享年81才。

やさしくやわらかな色彩で身を切るような苦しみを描き、そのファンタジーの世界の中に自分を置くことでしか孤独を和らげる事ができなかったダーガー。

ファンタジーが成立するためには「リアル」が不可欠。彼にとっての「リアル」とは寒気がするほどの毒。大量の少女の処刑など痛ましいシーンが描かれる。ファンタジーの壮大さや絵の美しさ=ダーガーの苦しみ、 だと思うと切実すぎて辛い。子供のような無垢さがゆえに辛すぎる…。癒しとは痛みが伴うものなんだと気付かされる。そうまでして生きなければならないんだろうか。何をもって人は幸せというのか。

作品自体の素晴らしさとは関係ないところで全く別の思いがふとよぎる。ワタシ、こんな人生はやだ…。死んでから評価されるなんてもーさいあくだ。死んだ後に誰かが私の作品で救われるなら、それもありかもしれない。

でもどうせならその人が笑ってる顔がみたいと私は思う。自分が死んだ後作品が消滅したって構わない。たとえビッグになったとしても記念館なんか全然いらない。

…と、ここまで書きながら、実はこれ全編英語、訳なし!しかも根性が足りず途中でヒアリングを諦めたので(2時間はキツイです…) 実際とは若干相違があるかもしれない。 集中しすぎて後頭部が痛いんです…。
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