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D坂の殺人事件のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

D坂の殺人事件(1997年製作の映画)
4.6
本郷は団子坂にある古書店・粋古堂の女亭主・須永時子(吉行由美)は、伝説の責め絵師・大江春泥の「不知火」の贋作づくりを天才贋作画家・蕗谷清一郎(真田広之)に依頼した。
蕗谷は「本物以上の贋作を作り、原本は密かに処分し贋作を本物として依頼人に渡す」ことすなわち「本物以上の美」に取り憑かれている変身願望の強い偏執狂だった。
贋作と知らずすり替えられた原本と贋作を受け取り、贋作の出来にいたく満足した時子は、蕗谷に春泥の幻の最後の作品「明烏」の贋作を依頼する。
「明烏」の贋作を受け取った時子が、殺害されてしまう。古本屋の女将殺人事件の犯人が、警察は店の金に手をつけた斎藤が犯人と睨むが、心理試験の結果から斉藤犯人説に疑問を抱く予審判事笠森氏(岸部一徳)が名探偵・明智小五郎(嶋田久作)に捜査を依頼し、事件解決に挑む。
江戸川乱歩の「D坂の殺人事件」と「心理試験」を元に、実相寺昭雄が監督を務め、真田広之が主演したミステリーロマン。
実相寺昭雄監督による江戸川乱歩原作映画版第2作は、「D坂の殺人事件」と「心理試験」を組み合わせたストーリー。
「屋根裏の散歩者」事件の後、素人探偵として「黒手組事件」などの難事件を解決した明智小五郎だが、難事件を解決する以外は相変わらず高等遊民としてブラブラしている自分に嫌気がさして鬱気味になっていた。そんな明智が推理力を生かしてプロの探偵となるきっかけが、美少年の小林芳雄(三輪ひとみ)を養育することになったことだったり、「本物以上の美」に対する執着が昂じて殺人を犯す蕗谷誠一郎の「本物以上に美しいものを追い求め美しくなりたい」という美への偏執的な歪んだ執着とナルシズムが、蕗谷清一郎を演じる真田広之の中性的な妖艶な美しさで演じる熱演で倒錯的な心理を含めて描かれていて、江戸川乱歩原作小説の倒錯的な妖しい世界観が濃厚に描かれたサイコサスペンスミステリー映画。
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