岩嵜修平

新宿スワンの岩嵜修平のレビュー・感想・評価

新宿スワン(2015年製作の映画)
3.1
園子温映画ではないが、まま楽しめるヤンキー映画

今まで、ヤンキー映画で楽しめたことが無かったので、楽しめたのは監督の手腕かと。

ストーリーなんて、どうでも良いですかね。
腕っぷしだけには自信がある気の良い兄ちゃんが、新宿歌舞伎町のスカウトマンにスカウトされてスカウトマンになって、スカウト派閥同士の抗争に巻き込まれて…の間にヘルス嬢と恋仲になりかけるも色々な壁が立ちはだかる。

役者と音楽の使い方は流石。
脚本のヒドさを何とかフォローしている。
(鈴木おさむさんって、バラエティでは面白いけど、ドラマ書く才能ないと思うんだ)

イっちゃってる人が多いコワモテ揃いの中で、綾野剛さんはとても良い緩衝材になってる。単なるイケメンをやらせたら勿体ない俳優ですね、彼は。盟友 山田孝之さんとのバトルも『東京都北区 赤羽』ファンとしては胸が熱くなることもしばしば。

伊勢谷友介さんは、あまり歌舞伎町っぽくなくて、なんでスカウトチームの人たちが彼に従うのか分からなかったし、金子ノブアキさんも小物感が強くてアレだったけど、関役の深水元基さんの説得力は半端なかった。まさしく狂犬。どこかで見たことあるなと思ったら、園子温作品常連である上、あの『みんな!エスパーだよ!』の超能力で瞬間移動して全裸になっちゃう彼ですね!すごい役の振れ幅。これから更に活躍していかれるのではなかろうか。
沢尻エリカに期待していた人間としては、出演シーンが少なくて残念だったけど、画面を支配する力は流石です。あれは確かに惹かれる。
他にもグラドルさん達を使ったあざといまでのエロさは園子温印といったところでしょうか。
安田顕さんの顔芸も流石でした。もう、何してても笑える。

音楽については、今作におけるMWAMとUVERworldの使い方が、『ストレイヤーズクロニクル』におけるゲスの極み乙女の使い方とは雲泥の差。歌付きの音楽、特に日本語の音楽は、こういうスピード感があって台詞を必要としない場面でこそ使うべき。
これでこそ、タイアップの甲斐があるってもんだ。

脚本がヒドかったのと、ストーリーにリアリティが無かったのとで、後半からダれて来ましたが、流石は園子温監督。ところどころで驚かせてくれ、寝ることはありませんでした。

ヤンキー映画だからかヒットはしているようなので、これを元手に、また新たな園子温ムービーを量産して欲しいです。役者さんは、今回のまま使えると良いと思うなー。
岩嵜修平

岩嵜修平