OASIS

LUCY/ルーシーのOASISのレビュー・感想・評価

LUCY/ルーシー(2014年製作の映画)
2.3
ごく普通の生活を送っていた女性がマフィアの闇取引に巻き込まれてしまい、ある物質の入った袋を体内に埋めこまれた事によって脳が覚醒するという話。
監督・脚本はリュック・ベッソン。

「人間の脳は10%しか機能していない」
この仮説からして全くの嘘であるという噂もあるが、脳に無限の可能性があるというのは否定できないし、もしただの人間が万物の全てを網羅すると言われるアカシックレコードにアクセスできたとしたらそんな夢のある話は無い。
ただ、時を支配して人類の起源にまで迫るのは飛躍し過ぎだし、たぶん今現在の人は過去よりも未来の情報を欲しいんじゃないかと。

何処にでもいる様なスカーレット・ヨハンソンが、ボスのチェ・ミンシクに運び屋をさせられた事から超能力が発現するのだが、その力が数%ずつ引き出されて行く毎に人間を超越し始めて50%を過ぎた辺りからもう脳とか関係無くなって来る。

その無茶苦茶感が最初は楽しいのだけど、20%を超えると他人の行動を支配できるというその原理が理解できない上に、モーガン・フリーマンが説明しようとしても「支配できるのだ!」と言い切られてやはり詳しくは分からず。
でも彼が言っているだけで謎の説得力があるんだからズルい。

行動の操作や電波を視覚化して触れるというのは脳波に関係しているかもしれないとかろうじて納得できるものの、電子機器を通して近くの物体を見たり、銃の弾を抜いたうえに人や物を浮かすとなるともうそれは「マグニート+プロフェッサーX」レベルの超能力でしか無いので一気に突き放された感が出てきた。
自分自身にしか作用しない能力という点では同様の題材である「リミットレス」の方がまだリアリティが感じられた。

とはいえ、スカーレット・ヨハンソンが徐々に感情を無くして行く過程での演技はその容姿と合わせてハマっているし、抜群のプロポーションから繰り出されるサービス・ショットは眼福でした。
薬物が身体の奥底に浸透していくCGやカーチェイス、意外なグロテスクさは良かったと思います。
チェ・ミンシク兄貴の初登場シーンは「悪魔をみた」を彷彿とさせる血塗れで猟奇的なカットに興奮したけども、そこが最もインパクトがあって後は立場が逆転して怯えているだけという情けない役どころで残念。
そして、とりあえず出しとけ感が強いモーガン・フリーマンは「トランセンデンス」に続いて説明役としてしか機能していなかった。
内容も少し被ってましたね。

「2001年宇宙の旅」からはじまり合間に少しの「X-MEN」そして「ツリー・オブ・ライフ」で終わる、そんな予想外の映画でした。

@TOHOシネマズ梅田
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