じゅぺ

マジック・マイクXXLのじゅぺのレビュー・感想・評価

マジック・マイクXXL(2015年製作の映画)
3.9
①ストリップの世界に生きてきた男たちが最後の大会に参加し、どデカい花火を打ち上げようと奮起する青春ロードムービー。"いまを楽しむ!"な中年の悲哀と爽やかさ、自己表現を爆発させる快感。ダンスもいろいろスゴイです

②ストーリーは前作より薄めだし、ダンスも最初の作業場の場面が(技術的に)いちばんレベル高かったので拍子抜け感は否めない。が、湿っぽさなしの友情、楽しげなマイク一行を見ているだけでジンワリくる。バカ騒ぎの青春モノとして優秀だと思うのね

③マジック•マイクXXLでなにより注目なのは"女性が欲望の主体"という点ね。散々指摘されてるけど。日常生活の様々な場面で抑圧され"女らしく"振る舞うことを強いられる女性たちがステージでは主役なんだ。MCが客を"女王"と呼ぶことからわかる通り。ダンサーもいちばんに喜んでもらおうとする

④ステージの場面で露骨に太めの女性を映しているのも"日常に不満がある女性たち"を強調するためかと。マイク一行は旅の中でダンサーに最も大切なこと、観客に喜んでもらう極意を学ぶ。それはただ過激に踊るのではなく、抑圧された女性の芯の部分をケアすることなの

⑤(ネタバレ注意)だからこそ、男に利用されショックを受けたゾーイがマイクのラストステージに選ばれ、初め困惑しながらも徐々に笑顔を取り戻していく展開は意味がある。ゾーイが笑うのは性的な意味以上に、傷ついた心が"ヒール"され立ち直っていく喜びがあるから

⑥女性に喜んでもらうおうとするダンサーの態度、捻くれた考え方をすれば歪んだ男性主義に見えなくもないけど。それよりこの映画で示されてるのは、やはり観客に幸せになってもらうというエンタメの根源的なテーマなんだと思う

というわけで、男性ストリッパーを扱った映画がそもそも少ないということもあり、非常に先進的な映画に思えました。大会の日が独立記念日なのも何か意味があるのかな?ついつい捻くれた考えをしたくなってしまいます笑
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