デデドンッ！！みたいな爆音が響き渡り、緒形拳の学生時代のころの写真がインサートされたタイトルバックがめちゃくちゃ格好いい。とうにモラルを捨ててきた緒形拳のエゴイストぶりが凄まじすぎる。親友の奥さんを一時的に好きになったから強引に抱く、好きじゃなくなったらから捨てる、この娘を一流の陸上選手に育て上げてオリンピックに出してみせる、といった自分の主張を一方的に押しつけてくる様子を直線を疾走するスプリンターと掛けているんだけど、こういうちょっとしたディティールの細かさに嬉しくなる。
選考会員が「早い女子選手が現れたらまず女かどうか疑え、ちんこがついてないかちゃんと確認したのか？」みたいなこと言ってて、時代とはいえこんなグロすぎる台詞よくもまあ許されたなと思った。自分の生徒が性自認と身体的事実が一致してないと知った緒形拳が「抱けば次第に女になっていくに決まってんだろ」ってのもヤバい（まずい）。先日見た『でんきくらげ』に限らず前から薄々思ってたけれど、後期増村は初期のスピード感やカラッとした空気感は健在だが、話のグロさが目立ってしまい、あまり好きでもないかもしれん。
