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劇場版 零 ゼロのiyuki08のレビュー・感想・評価

劇場版 零 ゼロ(2014年製作の映画)
2.9
個人的には記念すべき1200本目(たぶん)の映画である百合映画であり、実に湯らしいセレクションといえよう。

本作の誉めるべきところは、その美麗な画作りである。主演の二人をいかに美しく見せるかに注力していることは言うまでもないが、室内の灯りは暖色、外からは寒色の入光、といったように色によるコントラストで目を楽しませようとしてくれているのもよい。

たしかにB級ではあるが、アニメやゲームを無理矢理に実写化した時の「無理矢理」感も存外に少なく、黒鷺死体宅配便のハゲさえ出てこなければコスプレ感もあまり感じられなかった。これに関してはキャストや画作りでの遊び方が良かったのだろう。
ゴースト・アヤ(仮)の髪を風でなびかせる演出やメイクも堂に入っていた。

問題はシナリオと構成である。
まず怪奇現象がすこぶる怖くない。だったら百合に全リソースを費やせばいいものの、実は「いいですわゾ〜^^」とさせてくれる分もそんなにあるわけじゃあない。ラストで少女の時間を終わらせるなら、「少女の時間の特別さ」を、誰が殺ったの殺らなかっただのという下らない話で割くヒマなんかなかったんじゃないかと思うのだが…。
たしかにキスシーンがとても美しいという、百合実写作品としてはかなり画期的な映画ではあった。だがそれだけに映像でやってることと、ストーリーをテリングするうえで目指す部分との不一致が際立った。

期待していただけに少し厳しい採点となったが、ある意味では百合映画の新たなポテンシャルを開拓してくれた映画には違いなく、得るものがないかと言えば嘘になる。しかし受ける苦痛がそれに見合うだけのものかどうかは本人次第といったところであろう。
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