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アクトレス 女たちの舞台のyokoのレビュー・感想・評価

アクトレス 女たちの舞台(2014年製作の映画)
3.8
「オサレdeシネマ〜女達の生き方〜」風に見えるが普通にヌーベルバーグ

前半のこの二人の会話劇、セリフの読み合わせが二人のリアルに微妙に合わさるこのやりとりどうよ的な感じがなかなか退屈で辛いがちょうど真ん中1時間過ぎマネージャーのクリステンが車を運転するときオサレ世界観をぶち壊すようなダブでサイケなprimalscreamの5th vanishingpointからkowalskiがかかりようやく睡魔から脱出。運転と言ってもどこかに進むというより霧の中を消失点を見つけられず彷徨っているようだ。バッドトリップしているような表情も面白い。もちろん監督の頭の中には映画のvanishing pointも頭にあっただろうしプライマルのアルバムごとに変化するような作風のキャリアを女優に重ねているところもあるのではないか。

綺麗な景色は「オサレなスイスの景色見てくださいねー!」という意味ではなくゴダールの決別、our musicの天国編の水辺、あたりのここ現実ちゃうで的な意味合いではないか。じゃないとあの消失は説明できない。○○編て分けてたり別の映像が差し込んできたりそもそもぽいのだが。あとは殺人事件のないスイミングプールとか。自覚してないズーレー感というか。クリステンの男に話やクロエの話に反発めいた感情でビノシュが食いつくのは二人の恋愛感情があるからのような気がする。老いがテーマというよりそちらが気になる。と思ったが、マネージャーは内面の擬人化なのだろうか?マネージャー、ビノシュ第三者と介しての会話シーンはなかった気がする。カジノのシーンも人に紛れてるが、バーテンがおかわりビールを出したのはビノシュのみ。ちょうどドライブシーンでラリッてるのも含めリンチのロストハイウェイやマルホランドの分裂、統合あたりのモチーフもあるのかな。

最後のシーン、新たな監督のオファーでの会話「現代的であることと時代を超越してることは違う」、はゴダールの探偵の便所での演技の話を思い出したりもした。長々話してるけど結局演技の話だよねみたいな。クロエのミュータントも女優の言い換えだと思う。

あと登場人物が現実界となんとなく重なっている感じが面白い。
ヒーローものジュブナイルものに出ちゃうクロエ、クリステンのアメリカンガールと反アメリカ的な大御所女優ビノシュ、なんとなくレズぽいクリステンとビノシュ、クロエの愛人の小説家がクロエの兄貴に似ている。シュッとしてるけどなよなよゴズリングみたいなw

カノンは色々なバージョンがあるが今作中のカノンは結構テンポが速い気がする。エンデイングでもカノンが使用されるがもしビノシュが最終的に老いを受け入れているならもっと落ち着いたテンポになるのではないか。なのでスッキリしたように見える表情は老いを受け入れたからではなく、老いではなく時代を超越する自分を受け入れたからではないか。ハネケのピアニストの最後の表情の開き直り感。
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