ひげしゃちょー

フューリーのひげしゃちょーのレビュー・感想・評価

フューリー(2014年製作の映画)
4.4
まず、通信隊を希望していた信心深く人を殺したこともなく心優しいノーマンがドンたちと共に戦う中で変わっていく様に見入ってしまった。 それだけだとよくあるものかもしれないが、単なるアメリカ軍万歳映画ではなく女だろうが、子供だろうが、戦意がなかろうが、丸腰だろうがドイツ人はぶっ殺せ、若い女なんてタバコや食料を与えればすぐヤレるぜといった具合に兵士たちがとても野蛮に描かれているのがポイントが高い。それと、なんとか生きながらえたノーマンが戦車の下に隠れていたところを一人のドイツ兵に発見されるが見て見ぬふりをされたシーンも効果的。 はっきりと見せてはいないが頭が吹き飛んだり、死体が戦車に轢かれたり、死体の山が転がってたり、ほどよいゴア描写もリアリティがあって高ポイント。 「私は戦争に行くのを拒否した卑怯者です。」という首吊り(たぶんSSに殺された)死体も不気味で良かった。 惜しいのはエマの家に入ってからのくだりに時間を割きすぎていないかというところとドンがドイツ人になぜあそこまで恨みを持っているのかの背景が見えなかったこと。 エマに関してはノーマンとお互いに惹かれあったが爆撃によって彼女が無残に死んだことでこれが戦争なんだという説得力を持たせるために必要だったとも考えられるが…。 ドンが最初に言った誰とも仲良くなるなという一言の意図がよくわかる結末になっている。