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パンとスープとネコ日和のzomychanのネタバレレビュー・内容・結末

パンとスープとネコ日和(2013年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

アキコの飄々とした態度は風通しがいい。母親が死んでも浮き沈みの描写がない。猫のタロがいなくなっても、旅に出ているんだと思う、という解釈をする。「先生」(かつての編集職の担当作家)に宛てる手紙も、どれも感情的にはならず、淡々とその時の自分を確かめるように書く。
一人でご飯を作って、一人で静かに食事を摂るシーンがあったけれど、すごいなぁと思う。タロがいれば話しかけていたけれども、基本的には「ながら食べ」もしないで、食事に集中する。自分が何について考えているのか、アキコは自分だけではなく店を手伝うしまちゃんや、隣近所のお店の人たち・顔見知りの人とも対話しながら考える。自分(たち)の考えを生成している。それがめっちゃくちゃに尊い。

若いうちはとくに、毎日を全く異なる経験や背景を持つ人たちと対話しながら過ごすことが必要だと思う(自分は20代半ばなので「若い」ということにしておく)。自分にも、そんな必要性を覚える。友達と会うと経験したこともない結婚の話や子どもを産むかどうかの話が出てふんわり話すけれど、どうにも違和感があるのは実態というか生き生きした感覚がなくてすべて空想だからだと思う。だからいろいろな在り方に触れたいんだなーー、と映画を観ながら思いました。

タロちゃんかわゆす🐈
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