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ピクセルのKANIOのレビュー・感想・評価

ピクセル(2015年製作の映画)
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駄作と超傑作を波のような周期で打ち出すことでお馴染みのクリス・コロンバス監督のフィルモグラフィの中でも「割と楽しい枠」の作品。

登場作品は「ギャラガ」とか「アルカノイド」とかとにかく数えきれないくらい沢山で、レトロゲーム好きにはたまらない御馳走のような映画。
蓋を開けると、実際に実写版センチピードで実写版パックマンで実写版ドンキーコングだったし、要はあらすじからイメージしていた通りレトロゲーム版アベンジャーズでありリーグオブレジェンドだったのである。全員目的は地球侵略だけど。

コメディ映画としてとことん吹っ切れてる脚本が良く出来ていて、あぁいうのを中途半端にやっちゃうと"ツッコミ所"として捉えられてしまうので、そういう意味ではSFコメディとして、そしてオタク達のワンスアゲイン映画として激アツなストーリー。
作中のサウンドエフェクトに対する拘りも素晴らしく、ゲーム本来のBGMはもちろんのこと、ブラスター音とか建物がドット化して崩れる時の音とか凄く気持ちがいい。

しかし、上記のように3DCGのレゲーキャラや大まかな粗筋は良かったのだが、「ゲーム愛に溢れた作品であったか」と問われると素直に首を縦に振れない作品でもある。
特に作中におけるゲーマーたちの描かれ方として、「ゲームが上手い」ってそういう事じゃないよなぁというのが目立つ。
レトロゲームというのは、基本ルールや裏技を知ってるだけが「上手い」ではなくて、自分だけの”タイミング”や”順序”というものを持っている人が「上手いプレイ」を実践できる人なワケで、作中で描かれる"チート"に関しても、少しでもゲームをやる人間からしてみれば首を傾げる演出だったように感じられる。
「モザイク」と「ピクセル」を混合した演出からしても、「ゲームに明るく無い人たちが作った、ゲームをテーマにした作品」といった感じ。

作中、ゲームオタクの台詞で「創世記の香りだ」と訳されてるシーンがあったのだが、この「ジェネシス」は単に「創世記」を指しているのではなく「メガドライブ(GENESIS)」の事。こういう映画にこそ誤訳を防ぐために字幕監修を付けるべき。

数々の不満点も挙げればキリが無いが、致命的なツッコミ所を挙げるとするならば1つだけ。
ドンキーコングはそういうゲームじゃねぇ!
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