あき

バクマン。のあきのレビュー・感想・評価

バクマン。(2015年製作の映画)
4.0
小学生時代、中学生時代を中心に、山ほど漫画を読んできた。
ジャンプではなかったけど、毎月買っていた少女漫画の月刊誌たちは、買ったその日に夢中で読み切っていた。次の発売日が一ヶ月後だなんて買う前から分かってるのに。少しずつ読めば良いのに。続きが気になってしょうがなくて、何度も読み返しながら待つ次の発売日。
劇中に出てくる、本屋さんでジャンプを買っている子どもたちの姿を見て、読み手だったそんな昔の自分の姿も思い出した。

友情、努力、勝利。王道少年漫画の三大原則。ベタな設定、スピーディな展開。でも、王道漫画で育った身としては昔夢中になった世界がそこにあって、その中で生きているそれぞれキャラのたった漫画家たちが、その漫画家と向き合う編集者たちが、とても愛しい。原稿を見つめる目の動きや、漫画を読んだあとの口元の動き。言葉がなくても、身体から発せられるシグナルが伝えてくるものがある。確かな俳優さんたちが役に息を吹き込んでいるからだろう。

冒頭のジャンプの説明、劇中の映像のエフェクト、効果音、劇伴、主題歌、エンドロール…随所に制作陣の並々ならぬ熱意を感じる。公開時、エンドロールがすごいすごいと聞いてたけれど、実際に映画館で見た時に「なんじゃこりゃ!!!」と度肝を抜かれた。遊び心と手間がすごい。サカナクションの音も、さすが音の変態、一郎さん。リズムと、ビートと、ペンをさばく音が重なっていくごとに、こちらの心拍数も上がっていく。ついつい、おかわり鑑賞しに行った作品。

漫画版は漫画版でしっかり描かれた濃厚な面白さ、映画版は映画版で凝縮された映像ならではの面白さ。久しぶりに見直しても、あっという間の2時間だった。
あき

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