ヤマ

ターミネーター:新起動/ジェニシスのヤマのレビュー・感想・評価

3.1
3も4もガラッと作風が変わったのは、キャメロン監督が撮った前2作に対しての恐れ多さや、ハードルの高さがあったんだと思う。
自分はキャメロンが撮らなくなった以上、1からの系譜は2で完結したと思ってます。3からは同じキャラ名を使っただけの単なる番外編、もしくはパラレルワールドに近い。(ただし3の結末は良い。バッドエンドながらシリーズを通じての円環構造になっており、完結編として纏まっていた)

そして今作。ついにその誰もやりたがらなかった領域に踏み込んだ。
1と全く同じ構図のシーンから始まり、徐々に2のキャラなどを交えて歴史が改変されていく。過去作を観ている者なら非常にテンションが上がる燃え展開!なんだけど…。

中盤からオリジナル展開に進むと、如実に失速していく。
目新しさの無いアクション、さらに設定を複雑にしすぎたせいで説明台詞のオンパレード。
せっかく○○を敵キャラにしたのに全然生かされてないし、あの台詞も唐突で言わせただけという感じ。
正直「使える素材は全部使っとこう」って感じにしか見えなかった。これでは、1と2におんぶにだっこなだけ、という情けない印象が作品全体に染み付いてしまう。
リスペクトしていると言えば聞こえはいいが、過去作を利用するのであれば、それをさらに昇華させた作品に仕上げなければいけない。それだけ観る側のハードルは上がってしまうから。
本作はそのリスクの高さに完全に負けてしまっているように見えた。

願わくば、本作はキャメロン監督に撮ってほしかった。
これがキャメロンが撮ったセルフリブート作ならば、どれだけ面白いものになったのだろう…と非常にもったいない気持ちでいっぱい。
ヤマ

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