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裁かれるは善人のみのgenomeのネタバレレビュー・内容・結末

裁かれるは善人のみ(2014年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

思えば10年前に観た『父、帰る』でロシアの空と海の余りの美しさに驚き、ハリウッド以外の“外国映画”という存在、魅力を意識したのだった。

今作もロケーションが物語の悲愴感を煽るのに心象風景として申し分なく「ロシアだからこうなった」感満載で、まさに恐ロシア……そのスキーマが余韻に浸らせる。

『父、帰る』は登場人物が父と息子で、ある意味セカイ系なピュアさがあり残された者の真実はその者の胸にのみ宿るという解釈をしたが、『裁かれる〜』は複数人の登場人物の関係が不純(ピュアさとは程遠い)に絡み合い「何が/どこから悪かったのか」という真実を眩ました印象。

不倫がばれたのが悪かったのか、市長が土地を奪おうとしたのが悪かったのか、権力に立ち向かおうと友人の弁護士を呼んだのが悪かったのか、夫婦が再婚したのが悪かったのか…鶏か卵が先か状態で、“悪”を考えたら途方もない。

後にも先にも「神を信じなかったことが悪かった」というのであれば、コーリャの訴えのように「ろうそくを灯せば何か変わるのか」?
物語で裁かれたのは神を信じなかったコーリャだが、神を信じなかったことを悪とするならば邦題の『善人』とは誰を指しているのか?
真実は「神のみぞ知る」というやつなのか。
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