ひげしゃちょー

マップ・トゥ・ザ・スターズのひげしゃちょーのレビュー・感想・評価

3.6
昔のクローネンバーグは肉体的に異質なものを撮っていたが近年は精神的に異質なものを撮る傾向にある。 ただし、撮り方は変わってない。現実の中にときおり幻覚が入り乱れる。 母の幻覚に悩まされるハバナや見舞いに行って女の子の幻覚に悩まされるベンジーが良い例。 秘密を抱えているという点では『ヒストリー・オブ・バイオレンス』や『イースタン・プロミス』に近しいものがあるもののそれ以上に救いようがない話。 両親が実の兄妹だなんて知ってしまったらアガサのようになってしまうのも無理もない。 落ち目の女優のハバナを演じたジュリアン・ムーアが凄すぎる。日本人には真似できない女優魂。 便秘だと言ってトイレにこもり屁をするシーンと3Pのシーンとカーセックスシーンは忘れられない。 現実と幻覚が交差することでラスト付近の解釈を目で見たままで受け取って良いのかどうか迷ってしまう。 アガサが慕っている運転手とハバナのカーセックスを目撃してしまって放心状態のところを、ハバナから暴言を吐かれたことによりブチ切れたアガサが置物で滅多打ちにするシーンは現実だったのだろうか。 それと、プールサイドで燃えていたクリスティーナは現実だったのだろうか。 薬物を多量に摂取した後に結婚の誓いをしたアガサとベンジーは心中と受け取っていいのだろうか。 そこら辺の解釈が難しいところ。