世界の半分は書物の中にある

アメリカン・スナイパーの世界の半分は書物の中にあるのレビュー・感想・評価

アメリカン・スナイパー(2014年製作の映画)
4.5
米海軍特殊部隊の伝説的スナイパー、クリス・カイルの伝記的映画。クリント・イーストウッドらしいマッチョ精神にあふれた作品です。

戦場に行けば自分も家族も傷つくことが分かっていながら、何度も戦地に赴く主人公。戦況が悪化しても、決して戦いから逃げる事はしない。人を殺める事に苦悩しながらも、確実に狙撃の任務を全うしてゆく。

戦争自体は理不尽で愚かな所業なのだけれど、戦う主人公の強さや気高さには尊敬の念すら感じてしまう。

同じ戦争映画でも「7月4日に生まれて」では、ベトナム帰りの主人公が自暴自棄になり、社会を恨み、最終的に反戦運動に身を投じてゆく。名作なんだけど、帰還兵の悲惨さが出過ぎていて観るのが辛くなる。

対して、クリス・カイルは心の傷を決して表には出さず、静かに日常に復帰しようと努力する。戦争や社会を恨む事もない。そうした前向きで潔い主人公の生き方が只々心を打ちます。

「フルメタル・ジャケット」と並んで、見るべき戦争映画のひとつだと思います。