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アメリカン・スナイパーのKANIOのレビュー・感想・評価

アメリカン・スナイパー(2014年製作の映画)
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フィリッパ・フットの”トロッコ問題”という有名な思考実験がある。
この本来の問題提示とはやや曲折しているが、「大勢を救うために1人を殺すのか」という問題は本作に当て嵌まる。そしてこの「1人」はクリスの標的となる人物ではなくクリス・カイル自身を指す。
シールズの抱く葛藤全てが、最後の戦場におけるクリスに迫られた選択に繋がり、PTSDを取り巻く「アメリカという国」を描き出す。

勿論戦争の臨場感とか緊迫感とかも凄いのだが、この作品で描かれるとある軍人の葛藤その全てが"現実に起きた出来事"であることが肝心であり、作品自体は愛国的でもなければ戦争を支持する政治的な思想を含んだ映画では断じて無い。
『ローン・サバイバー』と併せて観るべき傑作。
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