ねこたす

エリザベスのねこたすのレビュー・感想・評価

エリザベス(1998年製作の映画)
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若き日の髪の毛ふっさふさのダニエル・クレイグの貴重な拷問シーンが見れるとなれば、俄然興味がわきませんか???
おまけにカントナまで出演しているという。王道歴史モノにしては挑戦的でもある。

アカデミーでメイクアップ賞受賞している通り、とにかく美術、衣装が素晴らしい。歴史の教科書で描かれる人々がそのまま飛び出してきたかのよう。特に、エリザベスが纏うドレスがどれも素敵。十分にその時代を表現できている。

世界史はあまり詳しくないし、この辺りの頃は政略結婚が多くて誰だ誰だかさっぱりなのだ。それでもまとめるなら、カトリックから分離し英国国教会を打ち立てた父に倣い、周りの国々からの干渉を退け、女王として盤石の体制を築くまでの話、だろうか。

好きな男がいるのに、女王にならざるをえなくなった。周りは国の安定の為に結婚しろ結婚しろとやまかしい。今の大英帝国を考えると、国力の弱かったころの英国はなんだか新鮮だ。太陽の沈まぬ国だったスペインもなんだか強気で、なんだか切なくなる。これが入れ替わってしまうんだもんなあ…。
圧倒的にカトリックの権力が強かった時代にそれに背く英国。ヴァチアンからも王位を退けようと干渉がある。

エリザベスを演じるケイト・ブランシェットの笑い方がなんとも印象的。最初の頃は楽し気にイノセントに笑っているのだが、乾いた自嘲的な笑いに変わっていく。
だんだんと女王になっていくのだ。まるで英国と結婚するように。英国はこういった女性を生み出す土壌でもあるのだろうか。サッチャーとか。

大粛清を達成し裏切りものを処分する。黄金時代の準備は整った。断髪する後ろで流れるモーツァルトのレクイエム。まるで彼女の女性はそこで葬られたかのようだ。
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