尿道流れ者

温泉みみず芸者の尿道流れ者のレビュー・感想・評価

温泉みみず芸者(1971年製作の映画)
3.0
黒潮にのってとんでもない名器が伊豆にやってきた。多湖家に生まれる女は代々みんな名器・蛸壺の持ち主。それに加えてみみず千匹まで持ち合わせている長女・圭子こと池玲子御大。池玲子のデビュー作で当時まだ16歳だったという、和製トレイシー・ローズ的なエピソードでも有名な本作。
そんな池玲子が、常に男に騙され続ける駄目な母親の借金を返すために東京のトルコ風呂から伊豆の芸者まで、体を武器に奔走する。

池玲子の日本人離れした美貌と体は他の共演者と比べて別格で物凄い存在感がある。しかし、池玲子の魅力で突き進む映画ではない。ストーリーがほんと大変なことになっていて、池玲子うんぬん言ってる場合ではない。
行く先々で人気者となり、パトロンを見つける池玲子だが、名器ゆえの悲劇、腹上死によって男を失う。そしてそんなタイミングで新たに発覚する母親の借金。そのために池玲子は残念なありさまで土地を転々とする。そして伊豆で母親が作った莫大な借金のため、一世一代のセックス三番勝負が始まる。相手は竿師段平率いる無限精流。一升瓶六本分のアレを出し切るまで終わらねぇぜとかなんとかかんとか。

性器に対するどうしようもないネタを溢れんばかりに詰め込んだバカ映画。スラップスティックコメディとしては面白いがポルノとしては機能してない。興奮に至るまでの間に必ず水を指す、というか観ている人を動揺させる性器ネタが挟まれる。
デカマラ板前の小池朝雄やオナホール職人の山城新伍、金を払って乳を揉む拓ボン、よく分からない役で登場する菅原文太に仁義なきファンとしては嬉し悲しな見所もある。

面白いと思うが、そんな感想は意味がないような。カラフルな照明や構図の綺麗さなども好きだが、そんなことに気付くだけ無駄なような。時折顔を出す教訓めいたことや平和への主張も、その前後でちゃかしているので素直には受け取れないし。多分「あぁ、うん、はいー・・・」って感じの感想で終わらせておくのが吉だと思う。