尿道流れ者さんの映画レビュー・感想・評価

尿道流れ者

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クレヨンしんちゃん オラの引越し物語 サボテン大襲撃(2015年製作の映画)

4.6

物語のてっぺんとなる感動シーンを最初にもってきて、そのあとはただの馬鹿話で突っ切るなんてやりくちが汚すぎる。

物語としてのリテラシーを全て捨て去ったやり方で、戦国大合戦やオトナ帝国の正攻法をただの過
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海街diary(2015年製作の映画)

4.0

今は手元に無くて、実家で多分埃をかぶっているだろう本、カフカの手紙やノートに刻まれた断片が収められた一冊の本がある。そこにある印象的なフレーズとして、「何ごともなかったかのように元の作業に戻った、しか>>続きを読む

私の少女(2014年製作の映画)

3.6

封鎖的で排他的、陰湿かつ残酷。そんなイメージがすっかり定着した「村」という空間。この映画の村はそういったイメージで語られる古めかしく悲劇的なものとしてある。そこで1人の少女と左遷にあった酔いどれレズビ>>続きを読む

超・悪人(2011年製作の映画)

3.8

とてつもなく超越的なバランス感覚で存在する物事が確かにこの世界にはあって、出自も理念も分からない、といってもそんなものがその存在の何かを論理的に丁寧に説明付けるわけでもないというものがある。
その代表
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マザー(2014年製作の映画)

3.5

なんとなく白石晃ニ作品に真っ向勝負を挑めるのはかずおちゃんしかいないように感じた。

ここではない何処かや僕ではない誰かなどの、主体から離れたものへのある種の無知さやそう装うことからくる、飛び抜けた想
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龍三と七人の子分たち(2015年製作の映画)

3.0

この映画の味わいは全て、ラスト間際のバスとベンツのカーチェイスにある。なんだかとても穏やかで牧歌的な破壊映像。世界の車窓からとかにある、無害で安らかでためになるようでならないあの感じ。だから、カーチェ>>続きを読む

皆殺しのバラッド メキシコ麻薬戦争の光と闇(2013年製作の映画)

-

戦争や暴力、性などもファッションになり文化となる。しかし、そこに行き着くまでには距離の隔たりが必要だ。それは単に時間によるものでもあるし、価値観の変化や手法により別の観点で捉えられたりすることによる。>>続きを読む

リベンジ・オブ・ザ・グリーン・ドラゴン(2014年製作の映画)

2.0

期待せざるおえないほどのビックネーム2人が絡んだ、ダサいタイトルの映画。誰もが絶賛する映画ではないかもしれいが、少なくともそっち系が好きな人にはどハマりする部類の映画だと思っていた。しかし、現実は残酷>>続きを読む

セシウムと少女(2015年製作の映画)

-

原発批判をこめ、一人の可憐な少女がおくる不可思議な神様達との小さな冒険をアニメーションを織り込んだサイケデリックな映像で、北原白秋の詩を前面に押し出しつつお送りするというと、大林宣彦的ノスタルジック映>>続きを読む

インヒアレント・ヴァイス(2014年製作の映画)

2.5

暇を持て余した文系大学生がする背伸びとして、ジョイスとピンチョンに手を出すという通過儀礼めいたお遊びがある。そこで浴びる洗礼は、楽しいという感覚よりも恐ろしく大きなものに触れた不安感と個人的な経験と秘>>続きを読む

戦慄怪奇ファイル コワすぎ!最終章(2015年製作の映画)

4.0

もはやありがとうという言葉しかない。白石ファンのための閉鎖的で限定された観客向けの映画。大変面白いがこれで良いわけではない。映画として。でも、ありがとう。ここまで発展させながらも、ファン冥利にしかなら>>続きを読む

セッション(2014年製作の映画)

4.0

とても病的な映画。2人の患い者が出会って、激しくぶつかる。病院で病気自慢ないし、飲んでる薬の量自慢をするお婆さんの会話が、急にラップバトルに移行したかのような、アナーキーでグルービーかつ病的な恐ろしさ>>続きを読む

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)(2014年製作の映画)

4.8

いやもう本当に面白い。滑らかで刺激的な映像。ワンカットという触れ込みから想像する以上にスピーディーで入り組んだ映像。舞台美術やその裏側に至るまで、落ち着きのありながらもカラフルで目移りするような小物の>>続きを読む

温泉みみず芸者(1971年製作の映画)

3.0

黒潮にのってとんでもない名器が伊豆にやってきた。多湖家に生まれる女は代々みんな名器・蛸壺の持ち主。それに加えてみみず千匹まで持ち合わせている長女・圭子こと池玲子御大。池玲子のデビュー作で当時まだ16歳>>続きを読む

ワイルド・スタイル(1982年製作の映画)

3.5

まるで爆撃を受けたかのように荒れ果てたサウス・ブロンクス。そんな街に建つ、まだ倒壊はしてないってレベルの廃墟の壁を彩るグラフィティアート。それは美しいとかかっこいいというよりも、廃墟との調和に世紀末感>>続きを読む

パレードへようこそ(2014年製作の映画)

4.3

80年代の陰鬱な英国。今なお評価が割れるサッチャー元首相の政権下で、産業は力を失い、多くの失業者を生み、貧富の差は大きく広がった。そんななか起きた、炭鉱閉鎖に反対する炭鉱夫達のストライキ。突然マイノリ>>続きを読む

ワイルドカード(2014年製作の映画)

3.8

コーヒーに落ちた一滴のミルクのような淡い映画。味にも見た目にも影響の出ない一滴だが、それが落ちる瞬間を観た者は、黒のなかに白く滲んでいく光景を覚えている。はっきりとしたものではない。言われなければ思い>>続きを読む

妻への家路(2014年製作の映画)

3.8

泣き虫で宇宙大好きという小学生並みのメンタルを持ったスピルバーグとかいうおじさんが、また映画を観て号泣していたらしい。それがこの映画、妻への家路。文革で捕らえられ、20年ぶりに家へと帰ったパパが、記憶>>続きを読む

女神は二度微笑む(2012年製作の映画)

3.0

インドが好きだっ!胃の中の物を全て吐きたおした思い出の土地、インド。そんな愛すべきお国が送り出す極上サスペンス。しかし、インドから遠く離れた欧米諸国ではさらに極上のサスペンスを多く生み出しているわけで>>続きを読む

プリデスティネーション(2014年製作の映画)

4.0

自己に対する感情はそれが嫌悪感や劣等感であれ、自己愛の表裏によってなされるものであり、根源的には愛なのだと思う。自己愛はただのナルシズムとしてだけでは説明できず、生命を尊いものにとらえるための不可欠な>>続きを読む

櫻の園(1990年製作の映画)

4.9

自分の陰茎を引きちぎりたいと思うことがある。女の子になって混ざりたいと思う集団がある。そういった気持ちに強くさせられるのがこの映画。櫻の園を上演するまでの二時間ぽっきり、映画自体はそんな短い二時間にも>>続きを読む

幕が上がる(2015年製作の映画)

2.0

みんなの孫娘、有安杏果ちゃん(6才)が小さな身体で一心に牽引するももいろクローバーZ主演の映画。監督に一抹の不安を抱きつつも、我が孫である有安杏果ちゃんが拙い滑舌でアウアウ話す可愛らしさや、躍動するシ>>続きを読む

アメリカン・スナイパー(2014年製作の映画)

4.0

イラク戦争において英雄、伝説として君臨した1人のスナイパー。そんな彼も家庭との軋轢や精神的な浮き沈みを覚えてしまう。
戦地に毒されて無慈悲になり、派遣から家に戻っても戦地に思いを馳せてしまうようになる
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フォックスキャッチャー(2014年製作の映画)

4.2

母性というものは怖ろしいもので、その無償の愛は気遣いや愚かさなどの負を無かったものとして跳ね除け、愛によって傷付けてもしまう。母はそれに気づかず、子供だけが病んでいく。
この映画も母と子の関係図のなか
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悼む人(2015年製作の映画)

3.0

事故現場などの人が死んだ地点を巡り、勝手に、自由に、オリジナルの方法で死者悼んでいく主人公のキテいる姿が収められた映画。

この映画全体の価値観がズレているわけではなく、悲しみも愛しさも異常な心理もき
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はじまりのうた(2013年製作の映画)

2.5

貧乳界最強のキーラ・ナイトレイがホームレス系男子のマーク・ラファロと出会い、音楽を通じてそれぞれの結果にコミットする映画。

音楽系の映画で重要なのは音楽が口に合うかどうかという点だが、ここで僕は大敗
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スペシャルID 特殊身分(2013年製作の映画)

3.0

どうしようもなくダサいタイトルにふさわしく穴だらけで寒気のするストーリーと演出。観てしまったら最期、自分の選択と時間の使い方を後悔する以外にない。しかし、カンフーアクションなんてものは言わばアイドル映>>続きを読む

この世で俺/僕だけ(2014年製作の映画)

2.5

ニュース番組の今日の占い。これから仕事に行こうって時に今日の運勢は最悪とか言われて、どうすりゃいいんですか。ただ気分が悪くなるだけ。しかし、そんな占いに一喜一憂し、行動を左右されてしまう愚かな中年男性>>続きを読む

クリミナル・アフェア 魔警(2014年製作の映画)

3.0

墨で描かれた美しいオープニングから始まる禍々しい香港ノワール。人それぞれが持つ悪意とそこに嗾けるように動く超越的に存在する純なる悪意。クトゥルフ的な匂いすらさせつつ、悪意を存在として描くなど独特なるこ>>続きを読む

さらば、愛の言葉よ(2014年製作の映画)

2.0

飛び出る裸体に飛び出る文字。立体視を作り出すために用いられるのではなく、全く別のものとして両目を欺くために3Dの効果が用いられる。これがゴダールの3D。刺激的で実験的。しかし、つまらない。まさにゴダー>>続きを読む

ミュータント・タートルズ(2014年製作の映画)

3.0

子どもの頃のかすかな記憶に下水道の中でピザを食べる亀たちを覚えている。詳しくは覚えてないが、子ども心に暗い画面が苦手であまり楽しく観ていなかった気がする。

この映画は記憶の片隅にあった何かを繋ぎとめ
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二重生活(2012年製作の映画)

4.0

二つの家庭で二重生活を楽しみながら、合間に浮気を繰り返すニンフォマニアック社長が全ての発端。二重生活は中国における問題や闇が顕在化した一つの形として、実際に中国社会であることなのだが、社会うんぬんと言>>続きを読む

さよなら歌舞伎町(2015年製作の映画)

2.0

年老いたベテランの監督ならではの空気の読めないズレた映画。家族団欒の場で急に説教したりしだすジジイのような、はたまた風俗嬢に説教するおっさんのような痛々しいズレ。

エンターテイメントとしての部分と監
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5つ数えれば君の夢(2014年製作の映画)

4.5

心のどの引き出しにも収まらない歪で魅力的な映画。感動的であるような、勇気付けられるような、蠱惑的であるようで、それらではないような。

映画では言葉が滑っていく。哲学的でポエミーな長台詞。意味上にある
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ザ・タイガーキッド 〜旅立ちの鉄拳〜(2009年製作の映画)

3.0

レイドでお馴染みとなったイコ・ウワイス君とヤヤン・ルヒアン御大、そしてその監督ギャレス・エヴァンズによるシラット映画。この映画で得た確かな手応えが後のレイドシリーズのきっかけともなったとかなってないと>>続きを読む

ワイルド・アット・ハート(1990年製作の映画)

3.5

ツインピークスとほぼ同時期に撮られたこの作品。それはニコラス・ケイジの頭髪がまだギリセーフだった遠い昔のこと。ローラ・ダーンの微乳が冴え渡り、ニコラス・ケイジのカンフーを織り交ぜたダンスを楽しめる。>>続きを読む

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