シルヴィアン

日本の悪霊のシルヴィアンのレビュー・感想・評価

日本の悪霊(1970年製作の映画)
4.7
説明しているようで全く説明になってないシーンの羅列。歌、セックス。
いつのまにかどちらがどちらだか分からなくなって行く佐藤慶の二役と、対照的に主人公のバックグラウンドを匂わせながらも主人公に視聴者を同調させない、むしろ引き離した描き方が印象的。

セックスシーンが多く途中まではある種冷ややかに見ていたがあるシーンを境に、必要な描写だったのだと見る目が変わる。
うまい表現が見つからないが、あの出前の少女は「母性」の偶像だったのかな。己が何者でも何をしても無条件に認めてくれる絶対の愛情。許し。象徴。彼女を通過して同一化する二人。
そして国の為と挑んだ殺しから消えたリーダー「お父ちゃん」
難解で一度見ただけだと消化しきれない部分が多い。主張は思想強めの挿入歌で全部歌ってんだよと言われればそう。

んん〜難しいけど、最近のサブカル系ってこういう「葛藤」が人気だよね。色々な漫画とかで描かれている苦しみの正解の一種を見たという気もする。難しい。そういうカテゴライズするような見方をしていい作品でもないし。ただ描写による啓蒙はあるかも?

問題提起と映像の圧も含めて評価高め。
面白いか面白くないかは人それぞれ過ぎる作品。私も面白いとは言い切れない。
あと女性を演出装置として扱う表現は好きではないので今作は個人的にかなりグレーゾーン。