Tomo

フレンチアルプスで起きたことのTomoのレビュー・感想・評価

4.2
ストーリーは至ってシンプルです。バカンスに来ていた親子4人が、テラスで食事中に人工雪崩に巻き込まれる。その時夫が妻、子供を放って真っ先に逃げだしたことに妻は幻滅する。そこに子供達と友人2人を巻き込んで.....みたいな話です。

夫の言い分と妻の言い分は噛み合わない。妻は夫に対し「理想の父親」を求めており、逃げ出したことが許せない。一方夫は自分が逃げたことは認めず、家族は大切だという姿勢を貫く。しかしながら妻は理想を崩さず、夫は自分の不甲斐なさを反省し号泣。翌日家族4人でスキーをする最中、妻がいなくなり探しに行く夫。見つけ出して妻を抱えて家族の下に。夫らしさを取り戻す。

でもこれではこのストーリーのテーマは着地しない。帰路のバスでどヘタクソな運転手に妻は危機を感じ、子供の声も蔑ろに真っ先に出て行く。これって夫がとった行動と一緒じゃん。結局、綺麗事を言っても、人は危機に直面すれば、判断も疎かに行動する。オープニングとラストが同じテーマになっていると思いました。

最後、真っ先に出て行った妻に対し、バスの中の男は「女性と子供から順番に降りろ」と言い、下車した後も夫をはじめ大勢の男達が、画面に映らない妻の後ろを歩いて行く。このシーンは、前述した妻は「理想の父親」を求めるのに対し、夫は「女、子供、そして家族を守っている」ということを言わんとし、これまでを皮肉っているように感じました。

それにしても、ホテルで出会った2人は、いい味だしてます。妻の話を真摯に聞き、アドバイスしながらも、もし自分たちが同じ立場なら?ということで言い合いをしたり、可愛そうな位いい人達です。

また、映画を引き立てるのは、音楽と映像美です。ビバルディの四季「夏」を見事なタイミングで流す。雄大な雪山に散りばめられる赤い光など、観る者を刺激します。

ただ、意味あるのかなー?ってカットが多い。無言で動かないシーンが多く、画面が急に切り替わる。また顔を映さない。これも演出なのでしょうが、すみません、分かりません。

正直、自分の解釈があってるのかどうかもよく分かりません。多分違うんだろうなーと思いつつ、フランス映画は奥が深いなと十分楽しみました。
Tomo

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