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ある朝の思い出のoqmrのレビュー・感想・評価

ある朝の思い出(2011年製作の映画)
4.0
一人の人間が自殺した。彼は何者だったのか。男性で、年は50ぐらい。ヴァイオリンを趣味とし、フランス文学に精通したインテリでゲーテやプルーストの翻訳家でもあったらしい。とにかく目撃者、関係者は語る。ラテン系らしく饒舌に。私は事件のときこうこうこうした。彼は俺に嫉妬していた。
一人の人間がそこから居なくなったことという事実にどう隣人は向き合ってきたのか。そもそも向き合った人間などいるのか?
かと言え、人々の無関心に批判的ではない。と言うより判断を下さない。一人のヴァイオリニストが居なくなった、という事実すら幻想的な空間に呑まれてゆき、ただ故人が去ることを決意した世界の美しさだけが我々に示されている。
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