このレビューはネタバレを含みます
永遠であることの苦悩。
誰もが憧れる永遠の若さ、命を手に入れてしまったがために、絶対的な孤独に苦悩する美しい女性の半生を描いた映画。
自分の娘が年老いていく複雑さ、
愛する人たちに先立たれる悲しみ、
嘘をつき続けることへの疲労…
その心理描写は見事でした。
文字通りの生き字引であり、博識で数ヶ国語を操り、聡明なアデライン。しかし十年単位で名前や住まいを変え、誰とも混じり合わないようにして生きるため、いつも諦観したような物悲しさがある。
タクシーでとある公園のベンチを行きすぎたとき、彼女が思わず涙するシーンがある。
遠い昔、愛した男性がそのベンチに座っていた。アデラインは今と同じようにタクシーで向かったことを思い出す。彼が手に婚約指輪の箱を手にしているのが見え、彼女は運転手にこう言ったのだ。
「車を出して…」
愛する人と歳を重ねられない。
籍を入れることができない。
つらたん…
ただハリソンフォードはいらんかったかな。愛した男性とその父親を穴兄弟(失礼)にする必要なかったかも。だって、めっちゃ気まずくない…?職場の上司とか偶然再会したとかでよかったのでは。
それを差し引いても、良作でした。
主演女優の諦観がゆえのミステリアスな色っぽさ、語り口、全てが美しい!
おすすめです。