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アデライン、100年目の恋のWILDatHEARTのレビュー・感想・評価

アデライン、100年目の恋(2015年製作の映画)
3.9
『ドラマが終わってからが本当の愛』


主演のカップルの劇的な恋についつい目を奪われがちだけど、ハリソン・フォード演じるかつての恋人の、結婚40年のパーティでのスピーチにテーマが集約されているように感じられた。

愛する人と共に普通に歳を重ねていくことの素晴らしさ。

一生の思い出に残るほどの恋に敗れてもそれを悔いることなく自分に見合った伴侶を見つけ、たとえドラマティックではなくとも相手を慈しみ努力を続けてゆく日常の尊さ。


悠久の時を経て光をたたえ続け、今なお夜空を彩る星たち。
そんな星々を眺め続けてきた天文学者という役柄に相応しい、素敵な言葉を訥々と紡ぐ彼の姿に感銘を受けた。


ハリソン・フォードの他にもエレン・バースティン、キャシー・ベイカーが脇を固め、年輪を感じさせる円熟の演技で素晴らしい仕事を見せてくれている。
彼らの姿に思わず胸が熱くなり、歳をとることが楽しみになった。


ただ一つだけ、最後のナレーションは蛇足であろう。

白髪が発生したくだりだけで加齢現象が再開したことは十分解るし、アデラインの名を冠した彗星の到来に彼女の帰還を象徴させるには、言葉による説明を加えるとくどくなってしまう。

あの彗星がついに地球にアプローチする様を、幸福な余韻に浸りながら映像と音楽だけで観ていたかったな。
そうすれば、エンドロール中にその意味を推察出来ることで感動がより深くなっただろうと残念。

もしそうだったら完璧な映画だったんだけど・・・ん〜惜しいなあ。
という訳で星4つ。
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