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マフィアは夏にしか殺らないのとのレビュー・感想・評価

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程々に間抜けで愉快で素直に面白かった映画。簡単なマフィアの抗争の歴史しか頭になかったけれど楽しめた。逆に言えばシチリアの環境、マフィアについての最低限の事前知識は必要かも。
主人公の成長物語でありつつ、一般市民である彼の生活の中にもマフィアが根付いていたことがよくわかる物語構成。シチリアのマフィアの歴史を追うには分かりやすく、ちょうど良いストーリー。
序盤に主人公がカメラ目線で台詞を言う場面があったけれど、その演出が現実とフィクションとの境界を曖昧にしている。また時折、実際の映像が挟まれている。遺体や事件現場が生々しかった。そしてラスト。まるでドキュメンタリーのように映される映像、警官や判事たちを追悼した現実に存在する石碑やレリーフ。この映画は、フィクションであるけれど決してフィクションでは終わらない。あくまでも、マフィアと戦い続けた人々を追悼、あるいは祈りを込めて捧げる映画なのだと実感。「マフィアがシチリアにおいてどのような存在だったのか」をわかりやすくまとめている映画だと思う。
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