インドらしからぬ、大人のラブストーリー。
どうした?と思ったら、フランスが制作に加わっていて、めちゃくちゃ納得しました。
インド独自(しかも都会だけ)の文化だと思うんですが、家庭で調理したお弁当を届けるシステム、ダッバーワーラーの「お弁当取り違え」が話の始まり。
ダッバーワーラーの配達人たちは、毎日、175,000個以上の弁当箱を運んでいるのだそう。
にも関わらず、配達の間違いは600万個にわずかひとつという優秀さ。世界からも称賛されているそうです。
お恥ずかしながら、この映画でその事実を知りました。
旦那のために毎日、せっせとお弁当を作る一児の母イラ。ある日、お弁当箱がすっかりきれいになって戻ってきます。
旦那はイラのお弁当を残すことが多いようで「私の愛情が伝わった」と大喜び。
が、旦那にお弁当の感想を聞くと、「カリフラワーのおかずがおいしかったよ」と、変な返答が。え?カリフラワーは入れてないんだけど…。
イラは旦那ではない誰かが食べてくれたと思い、お弁当箱に手紙を入れます。
すると、手紙が帰ってくる。
それ以来、イラとお弁当を食べているサージャンの往復書簡が始まります。
たわいのない話から、いつしか、悩みや夢を語りあう仲に。ついに、イラは「わたしたちは会った方がいい。カフェで待っている」と手紙に記します。
サージャンは内心嬉しい。
が、会うつもりで身支度をしていると、とあることで会う勇気を失います。
たぶん、30歳ぐらい歳が離れているふたり。
イラを遠目で確認したサージャンは、美しく若いイラには会えないと悟ります。
切ない…🥲
なにが素晴らしいって、サージャン役のイルファーン・カーン氏ほか、役者陣の演技は、ほぼ即興なのだそうです。
サージャンが老いに気づいてしまった時の表情や、ほのかな恋が破れ失意の様子も胸打たれました。
きっと、ぎゅうぎゅうづめのバスの中演技もイルファーン・カーン氏に委ねられたのだろうと。おばあさんと微笑み合うシーン、最高でした。
余韻を残しまくりのラストもいい。きっと、イラは……。
明るくて、前向きで、ダンスシーンがキラッキラしててっていうインド映画がお好きな人からは評価が低いと思うんですが、わたしはかなり気に入りました。
いいね、こういうインド映画も。