服部だった何か

ブラック・スキャンダルの服部だった何かのレビュー・感想・評価

ブラック・スキャンダル(2015年製作の映画)
3.8
酷い時は血気盛んに叩かれて、良い時は違和感なく自然なもんで話題にも上がらん。そんなわもんやな。そんなもんなんやけど敢えて言うとくわ、落としどころとしてはええ邦題やと思う。

犯罪王の兄ジョニーデップ、上院議員の弟ベネディクトカンバーバッチ、FBIの幼馴染レイリオッタ…じゃなくてジョエルエドガートン。こういう悪さってレイリオッタのイメージなんやけど流石に歳取り過ぎやろか、まだいけるんちゃうのかなぁ。
ビジュアル的には3人主演みたいやけど、カンバーバッチの出番は少なく犯罪王ジミーとFBIコノリーを中心に物語は展開していく。あ、実話を基にした物語。
FBIとギャングが密約交わしてのさばっていくわけで、最初はチンピラ程度のギャングやった筈がご立派なギャングとなり最終的に愈々手の付けられんとこまでいった風にも見える。けどまぁ「ナイトクローラー」のルーみたいなもんで、「最初からとっくに線は踏み越えてた人間」やと思う。
穏やかな表情を浮かべてても、眉を顰めてても、衆人環視の白昼だろうと、常に不穏な空気を感じさせるジョニーデップは久々に好印象を持った。実に簡単に人の命を奪う悪の説得力みたいなもんをきっちり表現してて、こういう役ならジョニデ主演作も大歓迎や。(ちょけたジョニデは好きじゃない)
演出自体もかなり控えめで淡々と狂気が渦巻いてる感じが心地良かったし、カンバーバッチの出番が少ないとはいえ終盤兄弟の電話なんか良い余韻がある。撮監は「ファーナス」同様、高柳雅暢。活躍中やなぁ、「スポットライト」も確かこの人や。

結果として俺たちのケビンベーコンが思いの外ちょい役で悔しい思いを感じたものの、起伏の少なさをカバーするくらい色合いも含めて画作りが真面目やったり淡々とした力強さのある作品で充分に楽しむ事が出来た。
ただ、俺たちの(?)コリーストールがなんや珍しく強気で真っ当な役回りやった辺りには驚きを禁じ得んかったわ工藤。