TaroYamada

悪童日記のTaroYamadaのレビュー・感想・評価

悪童日記(2013年製作の映画)
3.5
マジャル語の響きが、ハンガリーの事を描いていながらどこか無国籍に感じさせ、過去の出来事としてだけでなく、まだ見ぬ近未来をも夢想させる恐ろしい作品

主人公の双子2人は母親により強制的に祖母の元に疎開させられ、昨日迄の生活とは全く違う環境に放り出される
戦時下、状況も次第に深刻化し、貧困、暴力、他国統治、性的抑圧、人種迫害と大人すらおかしくなる状況で、生きていく為に、目の前の真実しか日記に記さない、勉強は必ずやる、強くなる為に異常な迄に自分を苛め抜く、自らに課した主人公の少年2人が遭遇する過酷な現実を、時には見えない物が見える様な描写も駆使しながら、端的に物事を表現している

主人公の双子役、アンドラーシュ/ラースロー・ジェーマントと双子の祖母役、ピロシュカ・モルナール(ハンガリーの国民的大女優だとか)の存在感が際立つ、この3人無しには作品は成立しなかったのでは?と思わせる程に素晴らしい演技、特に少年2人は存在感が凄い

原作は本作から始まる3部作が連なる
この緊張感有る世界観が持続出来るのであれば、続編を見たいと思った