SANKOU

海街diaryのSANKOUのレビュー・感想・評価

海街diary(2015年製作の映画)
4.0
母と父を亡くし、まだ中学生の年で大人にならざるを得なかったすず。自分が存在していいのか、ふとした瞬間に頭をよぎる、そんな彼女が腹違いの姉たちと暮らすうちに徐々に自分の居場所を見つける物語。鎌倉を舞台にのどかで平穏だけれども、姉妹たちだけでひとつ屋根の下で暮らすという特別な環境で微妙に揺れる彼女らの姿を、とても優しく繊細に描いている。頼りない母親の代わりに、一見しっかりものに見える長女の幸も、妻帯者を好きになってしまうという男関係に悩まされるところが妙にリアルだった。やや芝居くさいところはあるものの、日常をそのまま切り取ったようなカメラワーク、徐々にすずが家族の一員として溶け込んでいく姿がとても自然だった。釜揚げしらすが美味しそうだったり、自転車で下る桜並木や、丘から見下ろす海など、風景描写がどれも素敵だった。幸を演じた綾瀬はるかがしっかりと家族を支える長女であり、母親でもあるような存在感を出していてとても良かった。
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