紺

海街diaryの紺のレビュー・感想・評価

海街diary(2015年製作の映画)
4.0
家族にぶつけた言葉をおもいだして、自分がひどく傷つくことがある。
祖母や、母にぶつけた心ない言葉。父に向けた無言の反抗。妹たちに向けた悪意や嫉妬。
わたしのしたおもいだすとどきりとするような酷い仕打ち。
それでも、彼女たちに許されている安心感がある。
してしまった失敗を取り返そうと躍起になったり、嫌われてしまうことの恐怖に涙することもない。
ただただ、許されている気がする。
これは恋人や友達にはない不思議な感覚だ。

この映画の中にあるのは、家族を見守るあたたかな視線だと思った。
反発しあっては許し合う、不思議な、家族の形がくっきりとある。
世間から見たらいびつかもしれない。けれど、たしかにあるもの。

そこにくるまれていくのがすずだ。
自分の存在自体に傷つきながらも、3人の姉に許され、安堵していく少女の姿がある。

傷付いて自分を嫌いになってしまいそうな少女を救ってくれてありがとう。
誰にというわけでなく、その不思議な絆にみんな救われてる、ありがとう。
紺