樽の外のアンティステネス

海街diaryの樽の外のアンティステネスのレビュー・感想・評価

海街diary(2015年製作の映画)
5.0
自宅鑑賞。
全ての人間の心には、優しさが備わっている。
優しさの隣には寂しさがあり、寂しさを強く感じると悲しみになり、悲しみをあまりに深く見つめると怒りが生まれる。だけど、どんな感情もきっと、どこかで優しさと繋がっているのだろう。そうであってほしい。

勿論人生こんな綺麗事ばかりではない。
人付き合いはなかなかこう上手くはいかないし、毎日つまらないことの方が圧倒的に多い。
そんなこと言いだしたら、こんな美人ばかりの(もちろんその筆頭は希林ちゃんだ)家族なんてあり得ない。
ただの嘘くさい作り物じゃないか。

いや、だからこそ、このまるで人間の善い部分を丁寧に優しくすくい取って作ったような作品を時々観ることで、自分たち人間を少しだけ肯定出来るようにもなるのではないだろうか。
こんな風にはなれないけれども、心のどこかにはこのあたたかさ、柔らかさが備わっているはずだ、と。

人間の心のグロテスクな醜さを描く作品も勿論大好きだ。しかし、このとにかく隅から隅まで優しさに満ち溢れた作品は、心が疲れた時に時々戻ってきたくなる世界。