rage30

ミリオンダラー・アームのrage30のネタバレレビュー・内容・結末

ミリオンダラー・アーム(2014年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

「仕事に行き詰まったスポーツ・エージェントが、インドにスターの原石を探しに行く」というプロット自体は面白い。
素人に近いインド人選手が、どこまでメジャーリーグで通用するのか、興味をそそられるテーマではある。

だが、問題は本作の主人公をインド人選手ではなく、ジョン・ハム演じるエージェントにしてしまった事だろう。
物語の途中途中で挟まれる、彼と恋人とのロマンスがとにかくノイズに思えて仕方なかった。
興味の中心がインド人選手に向かっているのに、それとは関係のない恋愛を見せられるのは、なかなかの苦痛である。

この映画が描きたかったのは、「インド人選手の挑戦」と「自堕落な男の成長」だったのだろう。
だが、そこに恋愛の要素を入れてしまった事で、描くべき主題のバランスが崩れてしまった様に思う。
主人公が向き合うのはインド人選手ではなく、常に恋人だ。
それ故に物語が進めば進む程、主人公と恋人の関係は強調され、インド人選手の存在は薄まっていく。

一旦、恋人との関係を切り離し、あくまで主人公とインド人選手の関係に話を絞って欲しかった。
そうすれば、主人公達の友情は強化され、主人公の成長や擬似家族的な繋がりも、よりはっきりと見えた事だろう。

ちなみに、現実でのインド人選手がその後どうなったかと言うと、結局メジャーの舞台には立てないまま引退したとの事。
もしかしたら、そういった側面がインド人選手を中心にした物語作りを躊躇させてしまったのかもしれない。
rage30

rage30